金井社会保険労務士事務所
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コラム

重症筋無力症で障害年金2級は認められる?筋力正常でも受給できた裁決を解説

今回ご紹介するのは平成28年(厚)第31号裁決例です
※実際の裁決全文はこちら(平成28年(厚)第31号裁決)

重症筋無力症で障害厚生年金3級が認められましたが、不服申し立てを行った結果

障害厚生年金2級が認められた事例になります。


重症筋無力症ってどんな病気?

重症筋無力症は、神経から筋肉へ命令を伝える働きに障害が生じる病気です。

特徴として、

・朝は比較的動けるが夕方になると症状が悪化する
・少し休むと改善する
・動作を続けると筋力が低下する
・日によって症状に差がある

といった「易疲労性(疲れやすさ)」や「変動性」があります。

そのため、診察室での短時間の診察だけでは、実際の日常生活での困難さが十分に伝わらないことがあります。


筋力が正常でも障害年金は受給できる?

結論からいうと、受給できる可能性があります。

平成28年(厚)第31号裁決では、診断書上、

・関節可動域は正常
・筋力は正常

と評価されていました。

これだけを見ると障害年金2級は難しいようにも思えます。

しかし審査会は、筋力が正常という評価をしませんでした。

なぜなら、その評価は診察時の「瞬間的な状態」に過ぎなかったからです。


審査会が重視したのは「継続してできるかどうか」

この裁決で特に重要だったのは、診断書備考欄の記載です。

医師は、

「症状は変動性であり、診察時の瞬間的な筋力は良いが、重症筋無力症の特徴である易疲労性のため継続できず、時間帯によって筋力が変動する」
※一部省略

と記載していました。

さらに、

・全身の疲労感や脱力感がある
・四肢や体幹の筋力低下がみられる
・構音障害や嚥下機能障害がある
・労作や労働により症状の悪化が見込まれる
・状態によってはMMT0~1程度になることもある

といった事情も考慮されています。

審査会は、

「筋力正常という評価は診察時の瞬間的な評価に過ぎず、そのまま採用することは相当ではない」

と判断しました。

障害年金で易疲労性は評価される?

答えは「はい」です。

肢体障害の障害認定基準では、

・関節可動域
・筋力
・巧緻性
・動作の速さ
・耐久性

などを総合的に評価するとされています。

つまり、

「できるか」

だけではなく、

「どの程度継続できるか」

も重要な判断材料になります。

特に重症筋無力症のような病気では、一度はできても同じ動作を繰り返したり、一定時間続けたりすることが困難になる場合があります。


日常生活の支障が重要

裁決では、日常生活で生じる支障についても重視されています。

例えば、

・食事中に腕を上げ続けられない
・洗髪が困難になる
・読書を続けられない
・しゃがみ立ちが困難になる
・背もたれのない椅子に座り続けられない

といった状況です。

障害年金では、

「できるかできないか」

だけではなく、

「どれだけ継続できるのか」

が重要になることがわかります。

少なくとも、瞬間的な力だけでは「できる」とみなされないことがこの裁決を通じてわかります。


この考え方は重症筋無力症だけではありません

この裁決の考え方は、重症筋無力症だけに当てはまるものではありません。

例えば、

・筋ジストロフィー
・脊髄小脳変性症
・パーキンソン病
・多発性硬化症

などでも、症状の変動や易疲労性によって、診察時と実際の日常生活の状況に大きな差が生じることがあります。

診察室では歩けたとしても、

・買い物を最後まで続けられない
・洗濯物を干し続けられない
・長時間歩けない
・家事の途中で休憩が必要になる

のであれば、その実態を正確に伝えることが大切です。


障害年金請求で大切なこと

肢体障害の障害年金では、

「何ができないか」

だけではなく、

・どのくらいで疲れてしまうのか
・どのくらいの時間なら続けられるのか
・時間帯による変動はあるのか
・症状が悪い日はどのような状態になるのか

を具体的に医師へ伝えることが重要です。

当然ですが、診察室での状態だけでは実際の生活状況が十分に伝わらないことが多々あります。

そのため、日常生活の困りごとや症状の変動を診断書へ適切に反映してもらうことが重要になります。


まとめ

平成28年(厚)第31号裁決では、診察時の筋力や関節可動域が正常と評価されていたにもかかわらず、易疲労性や症状の変動、日常生活上の支障が重視され、障害等級2級が認められました。

この裁決から分かるのは、障害年金では単に「できるかどうか」ではなく、「継続してできるかどうか」が重要であるということです。

診察室で頑張って動けたとしても、それだけで障害年金が不利になるわけではありません。

実際の日常生活の中でどのような支障が生じているのかを正確に伝えることが、適切な認定につながります。

肢体障害認定基準

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