コラム
僧帽弁閉鎖不全症とは?症状・治療・障害年金の対象になるケースを解説
僧帽弁閉鎖不全症とは
僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」が正常に閉じなくなることで、左心室から左心房へ血液が逆流してしまう病気です。
本来、心臓の弁は血液が一方向に流れるように働いています。しかし僧帽弁がうまく閉じないと、左心室へ送り出された血液の一部が左心房へ戻ってしまいます。
この状態が続くと、身体に送り出される血液量が減るため、心臓はそれを補おうとして強く働きます。しかし長い間負担がかかると、徐々に心臓の機能が低下し、心不全を引き起こすことがあります。
ちなみに、私の家のトイプードルの「まる」も僧帽弁閉鎖不全症で、心臓の働きを助ける強心薬を1日3回飲んでいました。
主な症状
僧帽弁閉鎖不全症では、初期の段階では自覚症状がほとんどないこともあります。
しかし進行すると、次のような症状がみられることがあります。
・息切れ
・動悸
・疲れやすい(易疲労感)
・むくみ
・呼吸が苦しい
・肺水腫(肺に水分(血液成分)がたまる状態)
症状が進行すると、日常生活に支障が出て、最終的には死にいたります。
主な原因
僧帽弁閉鎖不全症の原因はさまざまですが、代表的なものとして次のようなものがあります。
・加齢による弁の変性
・僧帽弁逸脱症(心臓の弁が閉じずに一部が左心房へたわみ、血液が逆流しやすくなる状態)
・心筋梗塞
・感染性心内膜炎
・リウマチ性心疾患
・腱索断裂(弁を支えている糸状の組織が切れる)
※「まる」は腱索断裂でした。
治療方法
症状の程度や心臓の状態によって治療方法は異なります。
薬物療法
心臓の負担を軽くする薬などを使用し、症状の改善や心不全の進行を抑えます。
手術治療
症状が進行している場合や、心臓への負担が大きい場合には手術が検討されます。
主な手術には次のようなものがあります。
・僧帽弁形成術(弁を修復する手術)
・僧帽弁置換術(人工弁に置き換える手術)
僧帽弁閉鎖不全症と障害年金
僧帽弁閉鎖不全症は、症状の程度によって障害年金の対象となる可能性があります。
例えば次のような状態がある場合です。
・慢性的な心不全がある
・日常生活に制限がある
・労働が困難になっている
・手術後も症状が残っている
障害年金の等級は、主に次のような要素を総合的に判断して決定されます。
・心機能の状態
・NYHA心機能分類
・一般状態区分
・検査結果(血液検査(BNP値)、心電図、心エコー図、胸部X線、X線CT、MRI等、核医学検査、循環動態検査、心カテーテル検査(心カテーテル法、心血管造影法、冠動脈造影法等)等)
手術後でも障害年金の対象になることがあります
僧帽弁閉鎖不全症は、手術を受けた場合でも症状が残ることがあります。
例えば次のようなケースです。
・手術後も逆流が残っている
・心不全症状が続いている
・運動制限が必要
・就労が難しい
このような場合には、障害年金の対象となる可能性があります。
僧帽弁閉鎖不全症で障害年金を検討されている方へ
僧帽弁閉鎖不全症などの心臓疾患で障害年金を検討されている場合、
単に「病名」だけで等級が決まるわけではありません。
障害年金の認定では、主に以下の3点を総合的に判断されます。
・異常検査所見
・一般状態区分
・臨床所見(自覚症状や日常生活への影響)
これらをもとに、「どの程度日常生活や労働に支障があるか」が評価されます。
障害年金2級の目安
弁膜症の場合、以下のような状態が2級の目安とされています。
① 人工弁置換術後6か月以上経過している
+臨床所見が5つ以上
+異常検査所見が1つ以上
+一般状態区分「ウ」または「エ」
または
② 異常検査所見(A〜G)が2項目以上
+臨床所見が5項目以上
+一般状態区分「ウ」または「エ」
👉 日常生活に著しい制限がある状態が想定されます
障害年金3級の目安
① 人工弁を装着している
または
② 異常検査所見(A〜G)が1つ以上
+臨床所見が2つ以上
+一般状態区分「イ」または「ウ」
👉 労働に一定の制限がある状態が想定されます
主な異常検査所見(例)
心疾患では、以下のような検査結果が評価対象になります。
A:安静時心電図での明らかな異常(ST低下・陰性T波など)
B:負荷心電図での心筋虚血所見
C:胸部X線で心拡大や肺うっ血
D:心エコーで弁膜症・心機能低下など
E:重度の不整脈
F:左室駆出率(EF)40%以下
G:BNP 200pg/ml以上
1 臨床所見
(1)自覚症状
動悸
呼吸困難
息切れ
胸痛
咳
痰
失神
(2)他覚所見
チアノーゼ
浮腫
頸静脈怒張
ばち状指
尿量減少
器質的雑音
一般状態区分表(心疾患)
ア
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
イ
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
例えば、軽い家事、事務など
ウ
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
エ
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
ご相談ください
僧帽弁閉鎖不全症による障害年金は、診断書の内容や検査結果によって判断が大きく変わることがあります。
ご自身だけで申請を進めるのが難しい場合は、専門家へご相談ください。
参考文献
・南山堂医学大辞典
・知って欲しい障害年金請求に役立つ医学の基礎知識(日本法令)
・よくわかる障害認定基準と診断書の見方(日本法令)
・日本年金機構認定基準